認知症の人とのコミュニケーション法
平成28年9月19日(土)、第9回ももカフェを開催しました。5組の参加者の方がお越しくださいました。
今回のももカフェでは、小林脳神経外科・神経内科病院の作業療法士 田畑千絵さんに、「認知症の人とのコミュニケーション法」についてお話しをしてもらいました。認知症の人と関わる上でヒントになればと思い、このテーマを選択しました。そのお話しの概要についてまとめました。
①認知症の症状について学ぼう
認知症には、誰にでも起こる中核症状と、周辺症状というものがあります。周辺症状は7~8割の方にみられ、認知症の人の体調や周りの環境、介護方法によって影響を受けると言われています。不適切なケアをおこなうことで認知症の人の周辺症状が強くなります。結果としてそれが介護者の方の身体的・精神的な負担を増すことになってしまうのです。
②認知症の人と接する際のポイント
自尊心を傷つける行為は避けましょう
例えば・・・
「だます」
「できることをさせない」
「子どもあつかいをする」
「おびやかす」
「レッテルを貼る(認知症だから)」
「急がす」
「その人の気持ちを理解しない」
「仲間はずれ」
「ものあつかい」
「無視する」
「無理強いをする」
「からかう」
「軽蔑する」 といった行為です。
一方で、認知症の人が示すよい反応というのも知っておいてほしいことです。
例えば・・・
「自己表現ができる」
「楽しむ」
「ユーモアを示す」
「愛情を示す」
「自尊心を示す」
「リラックスしている」
「他人へ思いやりを示す」
「自分から社会と接触をもつ」
「他の認知症の方を受け入れる」といった反応です。
③バリデーションセラピーについて知ろう、実践してみよう!
バリデーションとは、1989年にアメリカのナオミ・フェイルというソーシャルワーカーが提唱したセラピーです。認知症の人に対して、「尊敬」と「共感」をもってかかわることを基本的な考え方として挙げています。また、バリデーションのテクニックは言葉を使うものとそうでないものがあります。実践では、真心をこめたアイコンタクト、タッチングをおこなってみました。
④バリデーションの効果
❏本人にとって
・自尊心を取り戻す
・ストレスや不安が軽減する
・他者とのコミュニケーションや交流が促進する
❏家族にとって
・認知症の人とコミュニケーションがとれる
・相手を理解することでストレスが軽減できる
バリデーションの考えで接することで認知症の人やその家族がお互いに気持ちよく過ごせるとよい
【言葉を使うテクニック】
1.事実に基づいた言葉を使う
2.リフレージング(彼らの言葉を繰り返し言う)
3.極端な表現を使う
4.正反対の事が起きた場面を想像させる
5.彼らの好きな感覚を用いる
6.思い出話をする
【言葉を使わないテクニック】
1.真心をこめたアイコンタクト
2.はっきりした低く優しい声で話す
3.タッチング
4.曖昧な表現を使う
5.彼らの感情の動きを観察し、それに合わせる
6.彼らの感情を、感情をこめて口に出す
7.音楽をつかう
8.満たされていない欲求と行動を結びつける
9.ミラーニング(彼らの真似をする)
和気あいあいとした雰囲気で
レクチャータイムのあとは、当事者の方は「歌って体を動かしてリフレッシュタイム」という活動に参加されました。今回は、季節の歌「紅葉」を歌いながら、それに合わせて体を動かしました。動きは4つの動作で構成しました。まずは歌って、そのあと、パートごとに振り付けを練習しました。歌いながら体を動かす同時の作業は難しいことですが、みなさん笑顔で活動に参加してくださいました。
また、今回も家族交流会も開きました。
カフェタイムでは、赤飯饅頭をいただきました。饅頭を配ったり、飲み物を準備したりするのは、徐々にスタッフから参加者の方におこなっていただくようになりました。そうすることで、参加者の方が気兼ねせず主体的に過ごせるのではないかと考えたからです。こういった雰囲気づくりや活動の工夫を重ねていきたいと思っています。